新米お届けまでの、長い話。


ご予約・ご注文いただいた皆さまに、今年の新米をお届けしています。
どんなお米かなぁ、大丈夫かなぁ、わが子を送り出すような気持ちで一つずつ袋詰し、発送しています。

収穫仕事は終わりましたが、今年の稲刈りは、結局のところ、過去一番に苦しんだ稲刈りとなりました。

稲刈りを始めて9月下旬、1週間余りも雨の日が続きました。

ご近所さんのほとんどは長雨の前に稲刈りが終わっていて、耕作面積が多いわが家は刈り取りができずに取り残された状況。

多くの稲が倒伏してしまっていたり(日照条件や風雨のために穂がついたまま倒れてしまうこと)、田面に雨水がたまることで刈り取りが困難になってしまうので、一日でも早く刈り取りたいのに・・。

家の中から雨空を見上げてはため息をつき、夜寝ているあいだにも雨音が聞こえてくると目が覚めてしまって眠れなくなったり、自分の心の中もずっと曇天、雨が降っていました。

ようやく、雨が上がって刈り取りが再開!、、できたけど、やはり湿った稲やぬかるんだ田んぼで、作業がぜんぜん捗らず、焦る一方。

なかなかうまく進まず、ため息をつきなら、ゆっくりゆっくりの稲刈り。

なんとかがんばって、残すところあと1日刈り取りすれば全部終わるかな、というところまで来ました。その翌日からはまた雨予報です。

20日以上も続いていた稲刈り期間、すでに幾つもの山を超えてきてたけど、ここ来て、まさかあと2つも大きな山が残っていたとは・・。

1つ目の山―。

最後の一日だ!と、前日・朝から、並行して行ってるすべての作業の段取りも整え、
コンバイン(稲刈りの機械)がぬかるみにハマったりしないように難しそうなところは予め手作業で刈り取っておき、
気温が上がり始めてコンバインに乗ってからも稲が詰まってチェーンが切れたりしないように頻繁に点検をしながら、
お昼ごはんもスキップ、無心で刈り取りを進めて、よし良し、万全の16時。

やっと最後の小さな田んぼ一枚までたどり着いて、今日はゆっくり眠れるかなぁと思った矢先・・

ガタン、ガタン、ガタン、と突然コンバインから異音がして動けなくなりました。

即刻、降りて見てみたところ、なんと、キャタピラが外れかけている・・。

あぁ〜、まさか・・。

中古で買った機械ゆえ、経年劣化に起因するものです。たぶん防ぎようがなかったトラブル、まさかこのタイミングで起こるとは・・。

もう、全身の力が抜けてひとり呆然・・。

立ちすくんでいると、通りすがりのご近所のおじちゃんがやって来て(なぜかこういうときにいつも現れてくれるミラクルみたいな神さま)、何気なく励ましてくれ、僕は気を取り直して農機具屋さんを呼び、おじちゃんは僕の農業の先生に応援を頼み、

この日、日没ごろまでには、なんとか切れかかったキャタピラを外して、修理の段取りの目処がつけました(1週間ほどかかる見込みとのこと・・)。

そして、農業の先生は、翌日の雨が上がった後に、自分のコンバインを貸してくれる、と提案くださいました。

それから2日後、2つ目の山―。

雨はあがり、とりあえず田んぼを点検に行くと、半分近くの田面にはさらに水がたまって柔らかくなり、これはもう、なお機械で刈り取るのは無理だ・・。

仕方ないので、隣村の若者に声をかけてお願いし、朝から一緒に手作業で稲刈りすることにしました。
一株ずつ鎌で刈って、天日干しするために藁で結び、束ねて田んぼの外まで運び出して、稲架をつくってそこに掛ける(稲刈り体験とかでよく見かける光景です。でもこれはイベントではありません・・)。田面はぐしゃぐしゃで、濡れた稲は重いし、全身はドロドロです。

お昼ごはんスキップで14時半。その様子を近所のいつもお世話になっているおじちゃんが見に来てくれて応援に入ってくれたところで、突然、2日前のおじちゃんと農業の先生+コンバインが到着です、おっと!?

先生「稲、濡れてるけど刈ってしまおう」。

刈りにくい稲・田面でも、強行してしまおう、あと少し終わらせてしまったほうが「お前の気持ちも楽になるだろう」と。

最悪な条件の中、いつもとてもお世話になっている3人の大先輩方が、わが家の稲刈りのために揃い、そこに娘とママも混ざって、計6人で今年最後の稲刈りです(こんな事ってある!?)。

大先輩方が下作業をしてくれながら、僕が借りたコンバインに乗り、超集中モードで、焦らず冷静に、かつ機械を壊さないように超ゆっくりの刈り取り。

普段欠かさず身につけている軍手や鎌はいつの間にかどこかに行ってしまい、素手で機械や稲を触る始末・・。必死になるとはまさにこういうこと。

小さい田んぼなのに、とても長い時間がかかります・・。

そうして、やっと今年の稲刈りを終えることができました。

気がつくと、指先は傷だらけ。

去年に比べ、全体に、作業時間は1.5倍増、それに引き換えて、お米の収穫量は15%減。

今日時点では、まだ山頂に立ったときの景色や気分は味わえませんが・・、がんばった。

― というわけで、お届けしているお米の後ろにある、こんなお話。

もういいよと思うくらいのながーい文章、最後まで読んでくださってありがとうございました。
今年の稲刈りは、もっともっと、長ーーーーかったです。

でも、皆さまからわが家のお米を食べていただいていることは、本当に、本当にありがたく、それを励みにして、来年に向けた田んぼ準備もがんばります。

夕方のニュースでは、新米“食べ放題”のお店で、ばくばくと食べる人たちの姿が映っていました。


(わたなべまさゆき 2024年10月)

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